マインド

プロスペクト理論

損切出来ない心理を理解して解決する

エントリーしたあと相場が逆に動いてしまい損切出来ずに損失が膨らんだりロスカットされてしまう…

このように損切りが出来ない事に悩む方は多いと思います。

この損切りできないという感情は「プロスペクト理論」によって説明することができます。

なぜ損切が出来ないのか?

エントリーしたあとに相場が逆に動いた時「多分戻るはず」と損切を先延ばしにして放置した事はありませんか?

運が良ければそのまま戻ってきて思っていた方向に伸びていく事もありますが、そのまま逆方向に加速して損失が膨らんだりロスカットになる事もあります。

最初に決めた損切ポイントで損切しておけば小さな損失で済みますが「多分戻るはず」と何の根拠もない希望的観測だけで放置してそのまま逆行すれば損失は大きくなります。

ではなぜ人は損切する事をためらって先延ばしにしてしまうのでしょうか?       そこにはプロスペクト理論による心理が大きく関わっています。

プロスペクト理論で引き起こされる不合理とは?

人が意思決定をする時には感情や感覚が含まれてしまう為、非合理的な判断をしてしまう可能性があります。

損切が出来ずに「多分戻るはず」と希望をもってしまうのは感情や感覚による不合理的な意思決定によるものです。

プロスペクト理論は3種類の心理に分類されます。

損失回避性

人は得る喜びよりも失う惜しさの方が強く感じる為、損失を回避しようとします。

そのため多少でも損失が出ていたら損を確定させる事を躊躇い先延ばしにしようとします。

損失を決断して確定させる事はストレスとなるため回避という行動を選んでしまうんです。

例1

①:100%の確率で10万円もらえる

②:50%の確率で20万円をもらえる、50%の確率で1円ももらえない

みなさんはどちらを選びますか? 

この場合①を選ぶ人が多いと思います。

確実性効果で確実な利益を得られる方が期待値が同じでも不確実な利益よりも求められます

では次の場合だとどうでしょう。

例2

①:確実に10万円失う

②:50%の確率で20万円失う、50%の確率で1円も失わない

この場合②を選ぶ人が多いと思います。

こちらも両方同じ期待値ですが、損失を避ける可能性があるため、リスクを取る事を選んでしまいます。

これを損失回避性と言います。

FXで言うと

例1の場合

今利確したら確実に10万円の利益だけど、このまま持っていたら建値で終わるかもしれないし20万円の利益になるかもしれない。

今ある利益を守りたくなるため利確が早くなります。

例2の場合

今損切したら確実に10万円の損失だけど、このまま持っていたら建値まで来るかもしれないし20万円の損失になるかもしれない。

今ある損失を確定させたくないから放置してしまいます。

感応度遁減性

同じ利益や損失に対して価値観により喜びや悲しみの感覚が変わる事です。

①:貯金10,000円の人に5,000円あげる

②:貯金1,000万円の人に5,000円あげる 

同じ5,000円なのに②より①の人の方が喜びは大きくなります。

損失の場合だと

①:貯金10,000円の人が5,000円を落とした

②:貯金1,000万円の人が5,000円を落とした

同じ5,000円を失っているのに②より①の人の方が悲しみが大きくなります。

FXでいうと

資金10万円で取引をしてる人が含み損5万円まで来た場合 、ここで損切したら50%の資金を失う事になります。

資金1,000万円で取引をしている人が含み損5万円まで来た場合 、ここで損切したら0.5%の資金を失う事になります。

資金1,000万円の人は損失が0.5%なのですぐに切る事が出来ますが、資金10万円の人は同じ5万円の損失でも資金の50%の損が確定してしまうため切る事が出来なくなります。

参照点依存性

ある値を基準とし、その基準値からの変化で損得を考える心理です。

①:毎回1位の人が3位になった

②:毎回10位の人が3位になった

同じ3位でも①は基準値が1位、②は基準値が10位となります。

同じ3位に対して①は2つ順位を落としただけで②は7つ順位を上げています。

しかし損失回避性により順位が下がる事は上がる事以上の悲しみが生じる為、②の7つ順位が上がった喜びよりも①の2つ順位が下がった悲しみの方が強いという事です。

FXでいうとエントリーポイントが基準値となり50pips含み益が伸びた喜びよりも20pips含み損が膨らんだ悲しみの方が強くなります。

損切出来ない心理を解決する方法

これまで説明したようなプロスペクト理論により損切しないとダメだとわかっていても損切出来ないという感情になってしまいます。

でも安心して欲しいのが、これは人間の心理的に当たり前の事だという事です。

何も考えずに行動していたら絶対に損切が出来ない心理が働くようになっているんです。

では何故勝っているトレーダーは損切が出来るのか?

色々な理由がありますが大きくは2つです。

①相場分析時にエントリーポイントだけではなく損切ポイント、利確ポイントまで出している

損切が呼吸するくらい当たり前に出来るようになるまではエントリー時に逆指値も同時に注文するようにして下さい。

損切が当たり前に出来るようになると手動でも出来るようになりますが、最初の内はプロスペクト理論が働いてなかなか手動では切れません。人間そんなに強くないんです。

なので予約注文を入れてその後は一切触らず利確か損切に引っかかるのを待ちましょう。

②資金に対しての損失率を決めて取引している為無理なハイレバはしない

1回の損切を資金の2%以内など決めてそこから保有するポジション量を決めましょう。

〇円稼ぎたいから〇lotの考え方は止めて下さい。

例えば10万円の軍資金で2%の損失なら2,000円になります。

リスクリワード1:2ならこの場合の狙う利益は4,000円です。

そして損切が20pips、利確が40pipsなら持つポジション量は1万通貨です。

10万円に対して5万円の含み損は損切が出来ないかもしれませんが2,000円の含み損なら損切が出来ますよね?

得たい利益に囚われて損切出来ない感情に支配されないようにして下さい。

ハイレバをやりたがる人は少ない資金で大きな利益を得ようとしますが、少ない資金で適正な利益を得て行けばいずれ必ず大きな利益を得る事が出来るので焦らずに確実に資産を増やしていきましょう。